ヴァイオリン覚書♪~アリーナ・イブラギモヴァ無伴奏ヴァイオリンリサイタル2011年11月21日

一日置いて、今日はソロのアリーナ(・イブラギモヴァ)・ナイト。
今日が名古屋で最後、日本公演でも最終日です。

宗次ホールは小さいホールで、規模的には日本公演初日のキューブホールと同じくらいなので、最前列の席を取り損ねても真ん中ならよく観られるだろうし、音響も評判のよいホールだからと、期待に胸を膨らませていました。

今夜のアリーナは煤竹色のドレス。遊び程度の控えめなドレープが入っていて秋っぽい感じ。ていうか、何色を着ても、いや何を着ても超お似合いvvv

・パルティータ第1番ロ短調BWV.1002

徹底したノンヴィブラート、そのストイックなロングトーンと、後につくトリルのコントラストは見事としかいいようのない絶妙のバランス。
でも…あれ?ちょっと重音にいつもの伸びがないかな…?
じっくりボゥイングを観察しても、惚れ惚れとするくらい基本に忠実で弦に対して垂直手首の滑らかな返し、難しいアップボウの重音だって間違いなく職人技なのですが…何となくAかD線の弦のどこかか、もしくは弓毛の真ん中より元寄りあたりの特にダウンボウで度々上滑りしたような音になっていました。
この一週間余り、弾き続けでさすがに疲れたのかな?
それに、名フィルとのタココンでは、1日めなんか毎楽章2、3本の弓毛が途中で切れて、ぶちぶち引きちぎってましたし(笑)、2日めも2度ほどがっつり切れてましたから…予備弓を使ってないとしたら多分中1日では毛換えもしていないでしょうし、楽器がベストコンディションではなかったのかもしれません。
これまで繰り返し、数年にわたって彼女の演奏を聴き込んできた私は、少なくともそう思いました。

・パルティータ第2番ニ短調BWV.1004

15分の休憩を挟んで、少し感覚を持ち直したのか、時折集中力を高めるような仕草をみせつつの演奏。
リニューアル前の彼女のオフィシャルサイトからのダウンロード音源、CDの演奏、何度も聴いてきた演奏とはかなり違っていました。
ただ、彼女の場合、素晴らしいのは、年数回数を経てどう変幻しても、彼女にしか出せない、彼女だけの音に揺るぎがないところ。2005年のライブ録音から現在まで見守ってきて、それは間違いなく言える事です。

その中で今回もっとも違ったのはシャコンヌ。深長→振幅と、回を重ねるごとに縦横の深みや広がりを加えながら、今回は天を貫くような激しさと、相対して空へ昇華するような音によって、人間性を内包した肉声を聴かせてくれました。

ああ、彼女は目の前で生身の音楽を見せてくれている…と当たり前の事を神妙に実感してしまい、涙が滲んできました…。
ブラボォコールと鳴り止まない拍手で、我に返りましたけど(苦笑)

・パルティータ第3番ホ長調BWV.1006

CDよりテンポが速く、かなり走った演奏でしたが、凄いのは観客に息切れ感を与えず、この疾走感でも危なげなく弾ききってしまうところ。しかもまた変化したのは、テンポアップしてるからといって音が軽くならず、むしろ軽快な音の中にCDよりも重力が加わったところ。そうそう、天上の音楽ではなく、地上にしっかり足をつけて生きているものの足音にも似たパッセージ。

もう重音が上滑りしていようが、気にならない。だって私はiPodでイヤフォンして一様に流れるCDの音源を聴いてるんじゃなくて、つまづこうが、足に豆ができようが、目の前で着実に歩み続ける、今しかない音を聴きにきたんだから。

技術的な完成度の点からすれば、評判を伺うかぎり、初日のキューブホールが一番の出来映えだったかもしれませんが、ありきたりな表現になぞらえると「傷のある音楽、傷さえ生きた証と思えるような音楽の方が美しい」と私には思えました。

っていうか、もうね、私は彼女の盲目的なファンだからして、超人的な技とか規格外の感性とかは専門家やプロの演奏家じゃなくても十分わかってるから、雲の上の存在みたいに崇めたい半面、自分と同じ人間だっていう実感も欲しいわけですよ。

今回の名古屋公演3日間で、これまで喉から手が出るほど味わいたくても味わえなかったものが、ようやく得られたので、とりあえず満足です。ええ「とりあえず」ですよ。
これからも、もっと彼女の音楽を聴いて満たされたいと願っていますので。

ちなみに今日の演奏会、先日名フィルでタクトを振ったゴロー・ベルクさんもいらっしゃってましたよ~。

あ!とりあえず満足と書きましたが、ただひとつの不満といえば、終演後のサイン会がなかったことo(TヘTo)
くどいようですがチケット代、宗次はキューブの倍額なのに、アンコールもなかったので、せめてひと目彼女の間近で名古屋公演3日間を労い、お礼が言いたかった…(サインも欲しかったけど)
かばんにしのばせてあったバッハのCDはそのままお持ち帰り…クスン。

あーーー!キューブホールのお客さんがうらやましいーーー!やっぱ行けばよかった!と、ばよ友ゆきさんメラメラ嫉妬しながら(爆)、でもタコが聴けたのは日本じゃ名古屋だけだから我慢しよう…と自らを慰めるのでした…。

おうちへ帰って、前の晩作っておいたラム&プルーンのタジンを温め…自棄酒…じゃなかった、赤ワインでひとり打ち上げ(爆)
うますぎて半分たべちゃいました

ついつい食もお酒も進んでしまい…赤ワインはボトルの残り1/3本飲み干し、タジンは半皿食べちゃった(爆)

明日はWレッスン、イメージだけは思い描いて…頑張ります!

コメント

_ ほしのん ― 2011年11月24日 03時30分33秒

ラム肉大好きですー。
最近食べてないっす。

ふと思いついたんですが、ラムを軽くスモークしたりしますが、
ラムベーコンとかラムハムとかって面白いかもーー。

でもロースは売ってるけどバラ肉とかモモ肉って、
あまり見ませんね。あ、時々スライスで売ってるのはモモ肉でしたっけ。

_ ありこ ― 2011年11月24日 09時24分36秒

>ほしのんさん

肉肉しいの苦手なはずなのに、なぜかラムは好きです♪でもジンギスカンとかじゃなく煮込み系やケバブみたくサンドイッチに入ってるやつ専門ですが。

>>ラムベーコンとかラムハム

独特のクセが和らいでいいかもですね!
私はラムラック(骨つき)しか買った事ないのですけど、あれもちょっと燻製してからソテーしたらすごく香りがよくなりそうですvvv

_ ゆき ― 2011年11月26日 02時46分55秒

さすがありこさん、表現が的確ですね!
コンサートの感想はこうでなくちゃね、ただすごい、とかどんだけ素人・・・^^;
たしかにキューブホールはほぼ完璧な演奏でした。
ところどころ激しさを交えながらも端正で正確な演奏で素晴らしかったです♪
でもやはりそこは生のコンサート、生の音楽、プロだからといってちょっとしたミスが起きないとは限りませんよね。
でもそれを超えて楽しめる個性を彼女は持っていると感じます。

サイン会がなかったのは確かに残念ですね・・・。
恨まないで~。^^;

_ ありこ ― 2011年11月26日 11時01分16秒

>ゆきさん

ウラミマースーーーーーー~~~(m-_-)mウラメシヤァ

というのは冗談で、ゆきさんにも、ばよ学習者として学ぶところがあったみたいなので、オススメした私としても嬉しいですよ♪

私が的確に書けたか…バッハの無伴奏の解釈とか難しい事はわからないけれど、多少なりともヴァイオリンをかじっている目線で感想を書いてみました。やっぱり間近で憧れてる演奏家の演奏を見るのは何よりの刺激になりました!

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