初めての名フィルとの共演は、同じ1列でも15、6列だったので、少し斜めからみる感じでしたが、今日はアリーナの真正面でございまする~vvv
で、前座とか言ってた最初のプログラムが始まったのですけど…
・ルクー: 弦楽のためのアダージョ 作品3
やられた……っ!めっちゃいい曲じゃないですか!!
名フィルのサイトでもナクソスの試聴リンク貼って下さっていますが、
こちらの動画の方がより譜面と照らし合わせて確認できるので、是非!
出だしから、もうキューンと来ちゃいました。
こんな名曲をこれまで知らずに居たんだと…損してた~~!!
厳かな弦のハーモニーが終わった後の、ヴァイオリンソロの繊細な響きが、柔らかく、切なく会場を包み込むと、さざ波のようなハーモニーが折り重なって…。
高音域のヴァイオリンソロも素敵な響きだったし、下支えする低音部のピッツとかトレモロがまた……。
ヴィオラやチェロにも聴かせどころパートがあり、まさに弦楽のための曲。
中盤の全パート休符明けの、ヴァイオリンの高音域ハーモニーが切なく、ヴィオラの蕩けるようにマットなフレーズが入って、また休符。そしてチェロの重厚なハーモニー……うっとり。
後半にチェロが主題を奏でるパートから、トレモロへ移る時の、ぞわぞわっと胸を掻き立てられるような流れが秀逸でした。
・ベルク: ヴァイオリン協奏曲『ある天使の想い出に』
曲とは全く関係ないですが、以前もリサイタルで見た鈍色のサテンのドレスで登場したアリーナ。
1プルのVnのお二人に、(もうちょっとだけ下がってね?)と指を少しって感じのきつねさんポーズにしてお願いする仕草がとっても可愛らしくて、これから悲壮感たっぷりの曲を演奏するとは思われないリラックスした表情でした。
私はもう、そのやりとりだけで萌えちゃったんだけど(笑)
そして始まった冒頭の、調弦みたいな解放弦の五度分散和音が、少女の手習いヴァイオリンのような雰囲気を醸し出したかと思うと……来た!アリーナの真骨頂!!
アリーナのCDで言うと、ロスラヴェッツのVn協奏曲とか、ハルトマンの葬送協奏曲と似た系統の曲。
それこそ、弓の毛ガンガン切れそうな勢いで激しいボウイングを繰り出すんだけれども、音は全然雑味がないし、毛も全く切れない。
さらに、指揮のアルミンクさんとのアイコンタクトが密で、フレーズの入りのタイミングはかなり推し量っていた様子。それでいて、曲への没入感も半端なかったです……。
添えられた献辞「ある天使の思い出に」という一文から、天使をイメージした曲を連想してしまいがちですが、全く違いますね。その真逆で、”天使”が居なくなった世界から”天使”を求める遣り場のない想い、とでもいいましょうか。
アリーナの奏でる唸るような重音と、解説にある「死の慟哭」を示唆するかのような高音域の悲鳴が、心を揺さぶります。
中盤のフラジオだけで演奏されるワンフレーズに、わずかな救いが見えたような気がしたんだけれども、すぐ悲痛な音に変わり……。
二楽章は荒れ狂うような重音の嵐からの超ハイポジトリル。
曲の振り幅もかなり大きいですが、アリーナの音のヴァリエーションも広い!
あんまり予備知識がない曲なので、尚更次にくる一手が不意打ちで、ドキドキ二割増しです。
ただ、ちょっと残念だったのは、ここの音量がオケに負けてしまった点。もう少しオケに抑えてもらえたら一層良かったんだけど、そこはオケの皆さんもアリーナの怪演に応えたくて勢い余っちゃったと好意的に解釈しましょうか。
その後の技術的な難易度の点では、主旋音出しながらダブルストッピングでピッツとか、サラッときっちり奏でてるあたり、実際目の当たりにすると圧倒されました。ここはオケとの音量バランスも取れていたので、綺麗に聴こえましたし。
ラストの高音域ロングトーンの微弱音はアリーナらしくてすごく素敵で……
ほわぁぁぁぁぁ……今この音で全部の彷徨える想いが救われたわ……と茫然として……会場の皆さんもそうだったのか、しばしシーン……とした静寂の後に、パタパタ…と拍手が沸いてきて、そのうち割れんばかりの拍手が起こったのでした。
次第に熱を帯びるブラヴォーコールと、鳴りやまない拍手に応えて、アンコールはバッハ。
贅沢の極みですな……はぁぁぁぁ。。。。。
休憩中も心がトリップしてて、この後ブラ4冷静に聴けるんだろうか?もうお腹いっぱいだ~~とか思っていたのに。
・ブラームス: 交響曲第4番ホ短調 作品98
好きな曲で、色んなオケと指揮者の演奏を散々聴いてきたので、正直それほど期待していなかったんです。
どの楽章をとっても名曲中の名曲だし、プロが無難に弾いたら、それなりに聴きごたえもあるし。
ところがどっこい。裏切られた!!
ルク―、ベルクと、美しく切なく繊細な曲が続いたところへ、何と厚い熱いブラームス!!
第一楽章から、Vnの方は毛をぶちぶち切る勢いでめいっぱい弾いてくださって、二楽章からどんどんヒートアップして乗ってきた感じ。
しかもただ熱っぽいだけじゃなく、色彩感や季節感を感じさせるような豊かな厚みがあって、一楽章の秋から二楽章の冬、三楽章で春が来て、また冬の思い出に戻るみたいな。全て夏に作曲されたというのは解説を見て知りましたが、夏感ゼロ。
アルミンクさんは時折前髪を掻きあげながら、全身でこの音楽を体現していらっしゃいました。
ブラームスって、”黙って漢”みたいなイメージを勝手に抱いていたのですけど、今日の演奏には映画かミュージカルのような物語性を感じました。しかも、安穏な救いはないのね。
切なさ、戸惑い、苦渋の中に、かすかな喜びがあって、いつでも世の中は甘くない日常が続く。辛い事と隣り合わせだけど、力強く生きていく意思が、人の一生に彩りを添える。
4楽章、そんな事をぼんやり考えながら、音の氾濫する時の流れに身を任せていました。
終わった時も、何かがまた始まって続く予感のような余韻があって、大きな拍手に包まれた会場のそこかしこにもそんな空気が漂っていたような気がします。
いいプログラムと、いい演奏だったなぁ……。
もう一日、同じブログラムを私もしっかり受け止められるのか?
感動ボケで帰途に着いたのでした。
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