ヴァイオリン覚書♪~アリーナ・イブラギモヴァ 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル2016年04月03日

今日は楽しみにしていた、アリーナのコンサートvvv
映像では観た事があっても、生では聴いた事のない曲もあり、ドキドキ、ワクワクです。

早とちりして買った多摩の同リサイタルのチケット、実は諸事情でブロ友kuriさんにお譲りしたのですけど、初アリーナをとても楽しんで頂けたようで、後日開催となる名古屋公演への期待は俄然高まっていました。

が、昨日の編曲作業で気力を使ったせいか、今朝はちょっと疲れが残って朝がウダウダだったのですけどね……

お天気もどんよりで雨が降り出しそうだったため、早めに家を出て、またまた英国展へ。

お昼ごはんをイートインで頂きました♪
~ブリティッシュガストロパブ~クラッパムイン
ロンドンパブプレート(1人前) 1,296円〈各日100食限り〉
小さめのコテージパイと2種類(カレー風味ツナ、クリームチーズ&サーモン)のラップサンドがセットになったワンプレートです。
ロンドンのパブ飯、ご飯が不味いと名高い?イギリスを旅行した際のご飯の定番でした。とりあえずパブ入っとけば間違いない!?みたいな(笑)
そういえば日本のデパ地下レベルの味と値段だったロンドンのコンビニのサンドイッチも、気に入って度々ホテルへ持ち帰って食べたりしていましたので、これは私にうってつけのランチ。

味は普通に美味しかったです♪一応、カトラリー出てきましたが、店員さんが「食べにくいので手で食べてくださいね♪」と仰ったので、腱鞘炎が辛い私も遠慮なく手づかみで頂けましたしvvv

他に3種のクラフトビール呑み比べセットや、単品のビールもあって、ちょっと呑みたかったのですけど……午後からコンサート眠くなっちゃうと嫌だから止めておきました。


ちょちょっとお買い物したら、早めに会場へ~~。
いつもチケットを買って下さっているファン友さんと、開演時間までタリーズでお茶しながら……
この↑画像を見て、アレ?と思われたそこの貴方!
ええ!買い逃がして地団駄を踏んでいたキアロスクーロ・カルテット兵庫コンサートチケットファン友さんがヤフオクで入手して下さって、譲って頂きました~♪わ~~~い♪
おまけに、中電ホールのメイツ(友の会)の会報も、アリーナのインタビュウが載っていたものを頂いてしまいましたvvv

そのインタビュウ末尾で、「ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲1番を録音したい」とアリーナが語っていましたので、これは……名フィルとの競演の感動を、今後手元でじっくりと味わえる機会が訪れるかも!?どこのオケ、誰の指揮で録音されるかも興味津々ですね!(一応ワタクシ、BBCのネット配信を録音した音源は持っているのですが)

そんなこんなでまだまだ続くよアリーナ・ウィークの始まりです!


今日のアリーナの衣装は、黒のキャミに黒のシースルーのドット柄の長袖トップスを重ね着して、濃い緑とグレイがかったようなヘリンボーン柄のサテンの厚地のロングスカートをハイウエストに履き、ゴールドと黒の縞模様のリボンでキュッと締めた、ちょっと中世のドレスみたいな珍しいスタイルでした。

ビーバー:パッサカリア
YouTubeで公開されていたAAMの動画(※リンク参照)で冒頭数分は観た事があったのですが、動画はバロック弓を使用してるし、通して聴くのは初めて。
冒頭のソー、ファー、ミー♭、レー、っていう音階のようにシンプルなフレーズは、ノンヴィブラートで訥々と、昔語りでも始めるかのように奏でられました。
このフレーズがいわゆる通奏低音、延々とベースになって、荘厳な重音になったり、装飾音符がついたりと、単調なフレーズの中にも様々な技術が駆使され展開してゆくのですが……

時折かすかに微笑みを湛えながら演奏するアリーナの姿もさることながら、楽曲の元来の雰囲気と、アリーナが紡ぎ出すヴァイオリンの音色が一体となって、今この時が仄温かい静謐の世界に昇華してゆくような感覚にストン…と気づいたら落ちてました的な。
聴いているうち、いつの間にか日常の喧騒から離れ、祈りの代わりに捧げられる音楽を、傍らで甘受するかのような想いが。

弾き手の最末端の端くれとしては、毎度の事ながら、彼女のノンヴィブラートが描き出す、墨絵のように無駄がなく……無駄を削いで、削いだ中にひときわ異彩を放つ音だけを拾い集めたかのような音作りに、ただただ感動するしかないという……ね……。


J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
私にとって、アリーナとの出逢いのきっかけ(j※リンク動画参照)だった、特別な曲。ヴァイオリニストなら誰もが憧れ、自分なりの表現に悩むであろう難曲でもあります。
あれから何度も彼女が奏でるこの曲に触れる機会を得ました。そして触れる度に、いつも違う”彼女の音”が待っていました。で、相変わらず私は、どうしようもなく感極まって涙してしまうのですが……。

やっぱりね……やっぱりダメですわ。もう涙腺緩んでヤバいのを、必死で堪えてましたよ(苦笑)
今日また新しい、深化した、彼女のバッハと出逢えました。

リンク動画の懐かしい余韻を孕みつつも、最初に公開された音源、満を持して発売されたCD、その後幾度か奏でてくれたライブの音、そのどれとも違うけれど、どれをも内包するモノクロームの世界がそこにありました。

そうそう、CDのジャケットのイメージのせいもあるかもしれませんが、私にとってアリーナのバッハは初めから今に至るまで一貫して、モノトーンであり続けているんだな、と今日改めて感じましたよ。

冒頭の速度はこれまでで一番ゆったりめ(と言っても気持ち、程度ですけど)、ノンヴィブラートはそのままに、ただし弓使いはべったりマット、フレーズによっては軽やかに謳いあげるような弾き方をする部分もあって、白と黒の濃淡で描く多様なバリエーションが、シーンに合わせて肌触りの違う白のカンバスに描かれていくような感じ。

今日は、楽章ごとにノンヴィブラートのロングトーンで終わるフレーズの残響が特に印象的で、アリーナの余韻まで含めての音づくりと、それによってバッハのこの曲はヴァイオリンの音を知り尽くして作られた曲なんだなぁと納得させられてしまう、圧倒的な説得力がありました。


前半はどちらもノンヴィブラートの妙を味わい尽くすプログラムでしたが、休憩を挟んだ後半もまた素晴らしかった……。


イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 「バラード」 
一昨年の全曲演奏会(※リンク記事参照)とCDで既に、ライブも音源も堪能してきた曲ですが、何度聴いても飽きるわけがない!
今の楽器に変わってから、おそらく私は初めて生で聴いた曲なので、私の中では一番劇的な変化を感じない曲なのですが、前半であれだけ神がかったノンヴィブラートの美音を聴かせてくれて、もうヴィブラート要らないくらいに思えても、ここで絶妙にヴィブラートを効かせた音を持って来られると、結局彼女の音は何をやっても素晴らしいの一言しかないという。

それはきっと、敢えてこう弾いてやろうとか、恣意的な部分は全くなくて、曲があって、曲と向き合った結果、自然にそうなったという演奏、音作りだからなんだろうなと思います。
その過程を、心から楽しんで、懊悩さえも味わって生み出している音なんだろうなぁというのが、伝わってくる気がします。


バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Bb.124/Sz.117
この曲も、私がアリーナと出逢った頃に聴いた(※リンク動画参照)思い出の曲。
あれから他の音源、ライブでは全く聴く機会がなかったので、最後のお愉しみという感じで、ワクワクしていました。

あの頃と楽器が違うせいもあるでしょうが、重厚感が増して、謳うところはしっかり謳いあげ、語るところはきっかりと語る、曲想がより明確に、響きがよりグラマラスになったような印象を受けました。
三楽章なんかは、リンク動画よりもっと幽玄な雰囲気があって、ぞくっとしましたし。

あと、毎回書きますが私、アリーナの表情豊かなピッツがすごく好きなので、二楽章とかね、この曲でそれが聴けてもうお腹いっぱいです(笑)


さて、こうして異なる年代の作曲家による無伴奏を一度に聴くというのも面白い趣向でしたけれど、改めてアリーナは、アリーナの音でありながら楽曲との一体感がハンパなくて、聴いてるうちにあたかも曲が意志で以て彼女の音を今この瞬間選んだかのような錯覚すら覚えるほど、違和感がないなぁと感じ入りました。

アリーナの音が好き、というのは動かしようのない事実なのですけど、聴いてると、そんなの関係なくなって、ただ目の前で展開される曲の世界にすぅーっと没入させてくれます。

以前、呼吸をするように弾く?とかいうような表現をした記憶がありますが、もはや呼吸をするように彼女の音、奏でる曲を聴く私。その幸せを噛みしめるひと時でした。

<アンコール曲>
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番より イ短調 BWV1003より 第3楽章 アンダンテ

バルトークの激しい旋律から一転して、穏やかなバッハのアンダンテ。
この曲もすっかり彼女のアンコール定番曲な感じですが、だいたい本番のプログラムが超絶技巧だったり、疾走感のある曲で締めくくられる事が多いので、その後で聴くと一層味わい深いものがあります。

で、すっかり恒例となりましたが、終演後のサイン会と最後までお見送り(笑)
腱鞘炎も相俟って、いつも以上に手ブレております…(TーT)

今回は久々に?一緒に撮影許可もおりましたので、もちろんパチリvvv
あれだけの難曲尽くしプログラムを終えても、素敵な笑顔でファンサービスしてくれるアリーナでした♪

はぁぁ……本当に素敵な時間をありがとう、アリーナ。
そして兵庫でまた逢いましょうね♪