ヴァイオリン覚書♪キアロスクーロ・カルテット「ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番『セリオーソ』、モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番&アダージョとフーガ」2013年06月06日

実は弦楽アンサンブルに興味をもって聴くようになって、まだまだ日が浅いため、聴き比べた事もないような曲の演奏に対して感想を書くなんて…
と避けていたのですけど…表題のCD、勇気を持って私なりの所感を綴ってみることにしました。

ジャケット素敵ですvvv
ネットでこういうの書くの、実は結構緊張なんですよ~~私は全然クラシック通じゃないし( むしろ痛) 、コンサートに足を運んだりCDを聴いたりした回数も数えるほどだし、とにかく知識に自信がないから、下手な事を書いて突っ込まれるのも怖いし、同じく初心者の方に誤解を与えるのも怖いし。

その固い殻を破る発端になったのはアリーナ(・イブラギモヴァ)でした。
こんな素晴らしい演奏家の情報が、ネットでググってても、たったこれだけしか出てこないなんて…!?と遺憾に思った2006年のある日以来、待って待って 待ち望んだCDデビュウ。
もっと沢山の日本人に知って欲しい!そして玄人の目線からの情報も欲しい!という一心から、名古屋の端っこで愛を叫ぶようになっ たのでした。

あれから早5年以上が経って再来日コンサートもあり、日本での認知度も増し、日本人や関係各所からの情報もアップロードされるようになり、もはや私ごときがミーハーな萌え事を書く必要もなくなりました。

ですから、ためになる情報を得たい方は、サクッと回れ右していただいて…

以下はヴァイオリン&チェロ弾きの底辺を這う存在として、ヴァイオリニストのアリーナをこよなく愛する私が、自分のお勉強のつもりで書く所感ですのでご了承くださいませ。

・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 op.95「セリオーソ」

前置きが長くなりましたが、おそらく初めて聴く曲だったので、まずは先入観なしに聴いてみたら、アリーナのベートーヴェンのソナタから想像していた激しさはなく、むしろより抑制されていたのに驚きました。

そもそもこの曲って、どんな背景から生まれたんだろう?と疑問に思い、後で少し調べてみましたら、この曲を作曲した頃のベートーヴぇンは、かなり難聴がすすんでいたとの事。

私は耳管が細いため、突発性難聴のような軽い症状が出たり、気圧で耳がおかしくなる事が多々あるのですけど、以前このブログにも書いたように薬の副作用で 2、3日ほど半音低い世界を体験した時、ものすごく不安になったのを思い出し…もっと大変な状態で心の音を頼りにまっさらな五線譜へ音符を書いたベートーヴェンに思いを馳せながら、何度も聴いてみました。

冒頭のユニゾンから、一瞬の間をもって続く各パートの掛け合いとハーモニー。
前回のCD同様、キアロスクーロカルテットの奏でるほとんどノン・ヴィブ ラートのロングトーンは鋭角に、しかもじわじわと浸透してきます。
小刻みに鋭い主題が続くかと思うと弱音のトーンが優しく響いたり、遠ざかるようにデクレシェンドしたりして、忍び寄る暗闇に追い立てられるかのように突き進むと、ふいに光り差す庭へ出たような…視覚的な情景が抽象的に広がってきます。

もし記憶の音を頼りにハーモニーを描くなら、闇の中に在るものを探り当てるような作業になるのかな。
創造するんじゃなく、すでに在るものを想像しながら、より感覚的に研ぎ澄まされた音の世界を構築していくのかな。

「セリオーソ」というのは、後世の人がつけた呼称じゃなく、ベートーヴェン自身がつけたようで、厳粛とか真面目という意味だそうですが、それを象徴す る「タララララ」という短くてシンプルな主題は楽章中ずっと繰り返されます。でもワーグナーのようなくどさ(笑→思春期はこれがハマるんだけど) はなく、楽章の中で色んな表情を見せてくれました。多分ベートーヴェンが自身の音に酔ってなくて(笑)、音のない世界で見える音を真摯に掴み取ろうとしていたからじゃないかな。

なんて事を、何度か聴いているうちに思いました。機会があったら著名なカルテットの同じ曲も後学のために聴いてみたいと思いますが、最初はシンプルでベー トーヴェンにしては抑制しすぎじゃないかなと思ったキアロスクーロ・カルテットの「セリオーソ」も、履きなれない新品の靴が徐々に自分の足の形にあってゆくように、だ んだんとしっくり来たので、しばらく愛聴して私も”見える音”を視たいです。


・モーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 KV 546
モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調 KV 428

だからモーツァルトは嫌いなんです、弾くのも聴くのも(爆)
例外はキアロスクーロ・カルテットの前作「不協和音」で、モーツァルトの音楽が耳に入った瞬間、拒絶反応が出る私(苦笑)が聴いても、良い意味でモーツァルトっぽさがないと思いました。
今回は…曲調的に紛れもなくモーツァルトだったのですけど、浮き足立つような軽さはなくて、軽快まで行かない慎ましさ?みたいな雰囲気がありました。
「お喋りをするように弾く」と、私はモーツァルトの曲は指導をされる度に色んな先生から良くそう言われますが、キアロスクーロ・カルテットのモーツァルトは「お喋り」じゃないな、と思います。
対話を楽しむというより、メンバーの中にやんわりとした風のような…共通の前提があって、その中でなおかつ対比を確かめ合うみたいな?

上手くいえない…やっぱり。くすん。意味不明。

アリーナの事ばかり書いてますが、チェロのクレアさんの演奏も好きです。テンポ感とか、寄り添うような拍の捉え方が、リズム感のない私には憧れ。仕事人的だけど、機械的じゃない音が、すごく安心感あります。
ハイドンの弦楽四重奏とか、クレアさんだったらどう弾くのか、興味津々です。

コメント

_ つるびねった ― 2013年06月09日 13時13分06秒

すてきなレヴュウをありがとう♡
わたしも、モーツァルトの四重奏は苦手なんですが、キアロスクーロのは聴けてしまいますね〜。
ドキドキするベートーヴェンもステキすぎ。ベートーヴェンは至高のカルテットをたくさん作ってるので、これからが楽しみですね。きっと、全部演奏してくれるでしょう。そしてハイドンも。特に初期のかわいらしいのが聴きたいです。

来年4月のアリーナのリサイタル、トッパンホールはイザイの無伴奏全曲(予定)!でした。ここで1回だけではないと思うので、刮目して待て、ですね。

_ ありこ ― 2013年06月10日 10時42分14秒

>つるびねったさん

学習帳みたいな覚書になっちゃいました(苦笑)
聴く度に色んな表情が見えてくる、四重奏は聴き込めば聴き込むほど味わい深くてスルメのようです(笑)

アリーナのイザイ!!
TVで観て(正確にはネットの動画も)以来です!!
名古屋がやらなかったら遠征したい……っ!!

_ きみまろ ― 2013年06月10日 23時05分18秒

ありこ様のアリーナさんに対する愛情が伝わってきました♡
私は全くもって、モーツアルトさんとかベートーヴェンさんとか(他の方も)わかってないので、ありこ様の解説が敷居が高くなくて、わかりやすいです〜(^^)
アリーナさんって可愛らしい方ですね♪ 天は二物を与えずって言いますけど(*^_^*)

_ ありこ ― 2013年06月11日 10時39分16秒

>きみまろさん

わかりやすかったですか!?そういって頂けるとありがたいです。
先生に指導を受けた事のある作曲家の曲は、ちょっとでも予備知識があると役立つかな~と思って、珍しく調べてみました(笑)

子供の頃は聴いても右から左へ聞き流してましたが(苦笑)、大人ですから、もうちょっと大人のアプローチを心がけたいです!

アリーナ、可愛いでしょう!?
演奏に集中している時はものすごく厳しい表情をしている事も多いですが、華奢で笑顔がくしゃってなってキュートなトコも含めて大好きですvvv
これから日本での活動範囲も広がると期待していますので、関西で演奏会があったら是非、生アリーナに触れてみてください♪

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