ヴァイオリン覚書♪アリーナ・イブラギモヴァ:バッハ無伴奏Vnソナタ&パルティータ全曲演奏会2014年12月23日

今年は二回もアリーナに逢え、しかも発表会後、まさにXmasプレゼントのようなタイミング、自分へのご褒美的な気分で、とってもとっても愉しみにしていました!!

朝から張り切ってガッツリ朝ごぱん。

小用を済ませてから、会場入り。
おおお!今回はなかなかの大入りです!!
名古屋のクラシックファンさんにも、アリーナの素晴らしさが浸透してきたのかな???

★アリーナ・イブラギモヴァ バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会

 2014年12月23日(火)
  第Ⅰ部 14:00~ BWV1001~1003
  第Ⅱ部 18:30~ BWV1004~1006
  1回券¥4,500 学生¥2,500 セット券¥8,000

今回もアリーナファン友さんのご尽力で良いお席をゲットできました!!……が、ただひとつ残念なのが実は私、前日から疲れのせいか、とうとう外耳炎を悪化させてしまいまして(T-T)
右耳が詰まってほとんど聴こえない状でのコンサ―ト鑑賞になってしまい、このブログで詳細を書くには条件が悪すぎ…。

ですので、一生懸命に両目を凝らして、演奏するアリーナの弓使い、指使いとともに聴きとったありのままの感想を綴りたいと思います。

◆第Ⅰ部
・無伴奏ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
第一音からして、これまでの演奏とは違いました!!
BBCミュージックマガジンの付録CD、初来日の武蔵野ホールでの演奏、満を持して発売されたCD、名古屋の宗次ホールでのコンサート、どれとも違う音でした。

近年から楽器を変えたせいもあるかもですが、鳴らし方がそもそも違う感じ?

美しいボウイングと、華奢な手から展開されるとは思えない素早い精緻なフィンガリング、何よりノンヴィブラート奏法を徹底して貫きながらも、ノンヴィブとは思わせない豊かな音色。

それらは以前からの彼女とちっとも変らないのに、音が、音楽が、間違いなく深化していました!!

はぁぁ~~また贅沢すぎる時間が始まってしまった…と溜息。

少しエンジンがかかり切らず、ボウイングと、若干のフィンガリングの乱れはありましたが、毎回申し上げている通りそれすら愛おしいと感じられる彼女の音楽の世界に惹きこまれます。


無伴奏パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002
なぜか毎回、自分が演奏する時より緊張して着席している私なのですが(笑)、このあたりから冷静さを取り戻し。

アリーナもエンジンがかかってきたようで、更に伸びやかに、時に軽やかに、可愛らしく穏やかな微笑みを湛えながら奏でる姿と音が胸を打ちました。

とても粗いボウイングをしているように見えないのですが、アリーナは毎回ものすごく弓毛が切れます。で、珍しい事ですが今回は切れた毛が左手にかかって、速いパッセージを捉えていた左手の演奏を遮るというアクシデントがあり、一瞬ハラッとさせられたものの、これがライヴの緊張感か、何事もなかったように曲の世界は紡ぎ続けられましたので、その緊張感がかえって聴き手の緊張感をも喚起したような心持ちになりましたよ。

円熟した演奏会を確信させるかのように、ブラボォコールが早くも飛び交いました。

無伴奏ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
アリーナの無伴奏のCDをiPodでほとんど毎日聴いているので、どの曲もそれぞれに好きなフレーズがあるのですが、この演奏会で聴いて、いつもより素敵だなと思ったのはこの曲でした。

今日は右耳の不調のせいもあって、いつも以上にアリーナの演奏する姿を凝視していたのですけど、元弓の使い方と、そこから導き出される音の豊かさ、先弓で納める曲の微弱音が消え入る際に客席の息遣いまでシンクロするほどの一体感が、もう何とも言えない幸せな時間で、演奏していない私も、この曲を一緒に旅しているのだと、より深くこの曲に没入していく自分を心地よく感じました。

で、第Ⅰ部が終演した時の第一声が「はぁ…ぜいたくすぎる」(笑)

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さてさて余韻を宿したまま、胸いっぱいお腹ぱんぱんな気分ではありましたが、実はお昼ご飯を食べ損ねて終盤お腹が鳴ってしまい(爆)素敵な演奏の深い音を不快音(爆)で遮っては申し訳ないので、がっつりスタバでチャージしました!!
全部ぺろりと平らげたさ~大食漢(笑)

◆第Ⅱ部
無伴奏パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
今回Ⅱ部は完売だそうです!やっぱりシャコンヌが入ってるからかな。サイン会もⅡ部しかやらないし、人気が偏るのはやむなし?

そして……もう余計な言葉は要りませんね。
なんだろ、当初から彼女のバッハは高い評価を得てきたし、そのまま守りに入って同じニュアンス感で弾き続けてから新境地を開くのでもいいんじゃないかって思うのですけど、私ならきっとそうすると思うのですけど、多分この曲に対する向き合い方が、そもそも違う。

ほぼ毎年、どこかしらのコンサートで弾いたり、録音したりしながら、毎回どんどん変わっていく彼女のバッハは、彼女の人生の縮図を見ているようです。

なんて真摯で純粋な、音楽と楽器に対するあくなき探求心でしょうか。変化を恐れず、音楽と徹底的に向き合う矜恃を保ちながらも、己を前面に鼓舞するのではなく。
あくまでバッハの無伴奏が内包するであろう様々の表情、コンテンツを、己の裡なる問いとともに楽器という手段で語りかけて絞り出す、ごくごく自然な作業の過程で生み出された変化なのでしょうか。

いつも同じ事を思いますが、彼女の演奏を聴くと、現状に甘んじている自分が恥ずかしくなります。
もっともっと、深く自分や周りの事を見つめなければ…目や耳を塞ぐ恐れを払拭しなければと。

無伴奏ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
軽快な曲の演奏中に魅せる、彼女の微笑が演奏と相俟って本当に素敵です……。
速いパッセージの曲は全体的に、これまでの音源や演奏よりピッチが速いのですが、軽やかで心地よい。

より立体感が増した感じがしますね。伸びやかに歌うところは、楽器が変わったせいか、ものすごくしっとりと聴こえますし、逆にピッチを上げてるパッセージはさらに軽い。

ありていに言えば、緩急&明暗のコントラストが更にクッキリした感じです。
この3番、好きだなぁ~vvv


無伴奏パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
激しくても烈しくても、彼女が奏でる姿に癒されます……うっとり。
ああ……今回も彼女の旅に立ち会えて良かった。
彼女のバッハをライヴで聴くのは多分3、4回目ですが、何度でも聴きたいし、変化を愉しみたいし、楽しめるに違いないと思います。
右耳万全で聴きたかったけれど、全く聞こえないわけじゃないので、私の全身全霊で聴いて、聴けて良かったと思う事にしましょう。

はぁ………とにかく贅沢。幸せ。
もう十分満足したつもりだったのですが、全曲弾き切った後なのに、アンコールがありました!!

(アンコール)無伴奏ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003 より第3楽章 アンダンテ
さすがに気力体力を消耗したのでしょう、少し乱れた箇所がありましたけれども、素晴らしい音楽の時間をすぐにリフレインして、想い出に刻みつけられるような、史上の癒しでした。

終演後のサイン会はありましたが、個人撮影は時間の都合上ナシということで…遠くから撮るのはOKとの事でしたので、パシャリ。
一時ふっくらしたアリーナでしたが、今回はまだ絞り込んで(笑)きました???可愛い……っvvv萌え死ぬ……っ!!
いっぱい撮ったけど、感動で手が震えてたのと、替えたばかりのiPhone6plusに慣れなくて手ぶれしまくっててろくな写真がなかった……がーーーん。

宗次でサイン会なしで泣く泣く持ち帰った無伴奏のCDにサインしてもらい、今回は目を合わせてちゃんと英語で「素晴らしい演奏をありがとう」って伝えられました!きんちょーして声震えてたけどーー!!言ったーーー!!

帰宅後は”無伴奏という祝祭”にひとりで祝杯♪
ここ数年、彼女の演奏を追っかけて、彼女の演奏家としての人生の一頁に立ち会ってきたのですが、この曲はまさに彼女のヴァイオリニストとしての人生そのもので、彼女がこの曲にどこまで無限の可能性を探し出し提示してくれるのか、これからも目が離せません。

アリーナ・イブラギモヴァのバッハ無伴奏、どこまでも真摯に、あくまでも未完の、果てなき探求は続くでしょう。

……と、しっとりまとめたところで何と!来年は来日がものすごくあるんですよぅ~きゃーーーー!!
演目も聴いた事ないコンチェルトから、セドリックさんとの競演まで盛りだくさん!!
チケット争奪戦になりそうな気配なので…あんまり情報拡散したくないのですが……自分への備忘録としてブログにUPしたいと思います……vvv