ヴァイオリン覚書♪シマノフスキ「VnとPfのための作品全集」 ― 2009年04月18日
カロル・シマノフスキ「ヴァイオリンとピアノのための作品全集」が
なぜか4月発売に早まっていたため、
先日慌ててネットで購入しました。
どうせ輸入盤だし、今、異常なポンド安なので
あっちのサイトから購入した方が安価で買えるとは思うのですが…
ハイペリオンレコードのプレスはなんかケースが粗悪で
返品とかが海外サイトだと面倒なので、国内HMVでの購入です。
そして届いたCDを早速確認。
珍しく今回は日本の輸入会社が日本語のオビをつけてます。
謳い文句が
「ロシアの妖精イブラギモヴァ。このシマノフスキが凄い!」
ですって。妖精って…確かに可愛いけど、
フィギュアや新体操と勘違いしそうなコピー…(笑)
やはりケースの造作は相変わらず…ですが
とりあえず破損はしてなかったので
わくわくしながら中身をじっくり鑑賞しました。
シマノフスキ、名前くらいしか知らないので
どんな曲を、彼女がどんな音で聴かせてくれるのか…
・夜想曲とタランテラ Op.28
知らない土地の暗い森へ足を踏み入れてしまったかのような
ちょっと不気味な闇の匂い漂う旋律。
冒頭数小節で、私の聴覚はノックアウトです…
はぅ……ナニこの音…ああ……やっぱ、イイ…ッ!!
っていうか、確実に進化を遂げていました。
最近のネットラジオとかもチェックしていたので
ごくごく最近の演奏も聴いてはいたのですが、
こんなに色艶のある彼女の演奏は聴いたことがない!
あと、毎度重音の響きの正確さと美しさは感動モノなのですが
後半に連続する速くて激しい重音、
そのお尻につくポロロロンというピチカートが
鳥肌が立つくらい正確でよどみがなくてすごい…!
・神話 Op.30
三つの主題それぞれに、聞かせドコロのある作品構成と
それを見事に聞かせてくれる演奏に、脱帽…。
あと、バッハの無伴奏の時のように
一部で弱音器を使っているような高音域の音がありますが
ちょっと笛っぽい音色になっていて面白いです。
ひとつひとつの音への徹底したこだわりは健在。
・ロマンス ニ長調 Op.23
音が…音がまぎれもなくロマンスです…
ちょっとブラームスのVnソナタとかの香りを感じます…。
・ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.9
曲調もさることながら、
いつになくダイナミックさを感じさせる演奏。
彼女元来の音職人気質な精緻さに、
感情の豊かさがプラスされたような気がします。
・3つのパガニーニのカプリーズ Op.40
聴きなじんだ&大好きなパガニーニのカプリーズを
彼女の演奏で聴けるなんて感動~vvv
音が…音が踊ってますよ~(泣き笑)
ピアノ伴奏の旋律はかなり独創性がありますので
それもまた面白かったです。
・アイタコ・エニアの子守歌
いい音でお腹一杯になったでしょ?
さぁ、眠りなさい…て曲かと思いきや、
またまた頭の夜想曲チックな幻想的なまどろみに誘われ…
いやはやいろんな角度の彼女の音が堪能できました。
ホールの問題なのか、演奏者のペダルの多用のせいか
ピアノ伴奏がぼやぼやした音に聞こえるのが
ちょっと私的に不満要素ではありましたけれど、
私は彼女の演奏さえ聴ければ十分です♪
例のオビの文句に偽りなし!(笑)
ハイペリオンのサイトでは全曲無料試聴ができますので
まだ彼女の音を知らないという方は
是非彼女の音の断片に触れてみてください。
★Hyperion Records
Karol Szymanowski (1882-1937)
The Complete Music for Violin & Piano
http://www.hyperion-records.co.uk/al.asp?al=CDA67703
全部を通して聴くと、それぞれ独立した曲なのに
なんだかストラヴィンスキーのバレエ曲を聴いているような
物語の風景が浮かんできそうな雰囲気でした。
それにしても彼女の演奏はどこまで進化していくのでしょう。
今回は本当に音に深みと艶と温度がありました。
これまでの演奏は音への情熱を
あえてぎりぎりおしとどめている風で
氷にずっと触れていて、放してしばらくしたらじんじん熱くなる
あの感じな音だったのですが
今回は人肌なほの温かさがありますよ…。
まだまだ円熟するには若すぎる彼女が
どんどん新たな音を構築していってくれることが
かなり、めちゃくちゃ楽しみです!
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