ヴァイオリン覚書♪~アリーナ・イブラギモヴァのタコVn協奏曲1番1日め ― 2011年11月18日
2011.4-2012.3シーズン定期演奏会「愛と死」シリーズ
第385回 「愛の渇望」
[指揮]ゴロー・ベルク
[ヴァイオリン]アリーナ・イブラギモヴァ
[ツィンバロン]崎村潤子
ムソルグスキー[ショスタコーヴィチ編]:
歌劇『ホヴァンシチナ』前奏曲(モスクワ河の夜明け)
ショスタコーヴィチ:
ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 作品77
コダーイ: 組曲『ハーリ・ヤーノシュ』 作品35a
バルトーク:
バレエ『中国の不思議な役人(不思議なマンダリン)』 作品19,Sz.73 組曲
私が今最も愛するヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァさんの日本初協奏曲(しかも地元名古屋で)が生で聴ける至福のひとときが…!!
同じ週に、名フィルの使っている音楽プラザで練習してきたばかり。アリーナ、いつ来日してるのかわかりませんが、同じ空気を吸ってると思うだけですでに幸せ~ほわ~んvvv
初デートにでもいくんか?というほど前夜から興奮して眠れず(爆)、もう朝から仕事なんて手につかず(爆)、どんよりしたお天気のように悶々として過ごしましたよぅ。
会場に向かう地下鉄の乗り降りやらで、ホントに心臓が攣って(笑→急に寒くなったせいかここ2、3日左の胸筋が狭心症みたいになっちゃってて。年のせいかコーフンしすぎなのか…汗)死ぬかと思いましたが「アリーナの生演奏を聴かないうちは死んでも死にきれん…!」という執念(爆)か、持ち直して早めに着席し、おとなしくしていました(苦笑)
今日は最前列ド真ん中から、ややチェロ側寄りのお席。さえぎるものがないので、アリーナはがっつり見られます♪
開演を待っている間も、ずーっとドキドキばくばく。
そんな中始まった『ホヴァンシチナ』前奏曲。私の気分はタコVnにフライング気味でしたが、弱音器を使った弦のトレモロの繊細な響きに、「うわ~~!」とびっくり。ヴァイオリンの皆さんのごくごくわずかに上下刻むボーイングをじーっと見てしまいました。途中のクラリネットのソロも素敵。静かに穏やかに締めくくられるこの曲が、いい感じに私の心をクールダウンしてくれました。
そして!アリーナ登場!ぎゃーーーーー(注・心の絶叫)
オレンジに近い明るい緋色のサテンドレスがとっても似合ってて可愛い…っ!そしてTV画面や動画で見るよりずっと華奢だし、私より指とか手とかも全然小さくて、びっくり!TVでもかなり演奏を観たけれど、もっと縦にスラーッとして見えたので、驚きでした。
演奏前からミーハーに興奮しまくっていましたが、演奏が始まったら…絶句……。
凄……。
こんなに激しくイタコ状態なアリーナを見た事がなかったので、出だしの駆け上がる旋律から鳥肌が立ち、以降多分、ほとんとオケの音を聴けていませんでした私…。
でもアリーナの演奏は一部始終、見逃すまいと…しなくても私の全身が釘付け、目にも心にも脳にもしっかりと焼きつけてきました。
第一楽章は私がナンバーワン盤として愛聴してきた、オイストラフの初演の演奏より、かなりヴィブラートたっぷりめで、腕をしっかり使って大きく広く音を響かせていました。出だしから全開で、オケとちょっと温度差があるくらい。ネットラジオなどで聴いてきた彼女のオケとの共演は、かなりオケと対話をしっかりするタイプの演奏だったと思いますが、今日は先陣きってこの曲にぶつかっている感じ。
でも、いつもの美しすぎる高音、微弱音、ノンヴィブラートのロングトーンは透き通ったガラスの細剣みたいな音で、胸がきゅーーーーっと締めつけられます……。ああ…アリーナの音だ…私がひとめ(耳)惚れした、真摯な音…。
第二楽章の軽快な旋律も繰り返される重音も、オイストラフは切って切って弾いていますが、アリーナはやっぱり彼女らしく、ややレガート気味に弓を吸いつけてマットに弾いていました。重音を速く、しかもレガートでブレずに響かせるのはかなり難しいけれど、正確無比!これだけ全身使ってかなり身じろぎしながらのボーイングなのに、どうやったらこんなに重音が響くのか、不思議でしょうがない…。
第三楽章の穏やかで切なくなる旋律は、アリーナのテクニックというより、それに裏打ちされた楽器の鳴らせ方の素晴らしさを一番堪能できました。っていうか、ヴァイオリンの構造上鳴りにくいG線やD線、sul.Gやsul.Dを使うフレーズもいっぱいなのに、どーしてそんなに鳴るの!?G線の響きが、半端なく柔らかくてふくよかでまろやか。自分が今まさにsul.Gの苦行を味わっている(苦笑)ところなので、まるで別次元の(いや、当たり前だけど)響きに唖然…。
長いカデンツァの超高音域は空気に溶け込んでゆくようで、聴こえない残響が確かに存在する雰囲気があり、鬼気迫る重音と刺すようなパッセージとのコントラストが…もう…圧倒されて…。
疾走して演奏が終わった後、ブラヴォーコールとともに周囲から漏れ聞こえたのは「凄……」の一言でした。素人にもわかる凄絶な演奏でした。
今回の演奏会のテーマ、「愛の渇望」になぞらえていうならば、今日のアリーナはショスタコーヴィチの作ったこの曲の旋律と音の中に潜むモノの正体を渇望するかのように、全身全霊で没入していたと思います。そして私はその演奏をありがたく拝聴するというより、彼女の音楽に対する単に優しいうわべだけの愛情ではない、正も負も入り乱れたすべての「愛」を渇望していました。
今日、この演奏を私に与えてくれた全てのものに感謝します。
その後のプログラムも、私の好きなロマ風の曲だったり、初めて生で聴くツィンバロンの優しい音色だったりして素敵だったのですが、多分冷静に聴けていなかったので、詳細は二日めにて。
私のこの感動は、名フィルのフェイスブックをご覧頂ければより伝わるかと思います。
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あ、アンコールはバッハの無伴奏パルティータ2番「サラバンド」でした。月曜に聴けるけれど、こんな大曲を終えた後でもほとんどミスのない演奏で…本当に凄いです…。
あと、最後の曲の時に気づいたのですが、アリーナが外した弱音器、指揮台の客席寄りの角に置かれたまま、すべてのプログラムが終わってもそのままだったので、帰りにこっそりそっと触ってきちゃいました♪
アリーナ以外の人が誰も触ってないから、間接タッチだもんね~vvvウフ。少しでもあやかれたらいいな~なんて、生まれ変わってもムリだけど。
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