ヴァイオリン覚書♪アリーナ・イブラギモヴァのメンコンCD2012年09月12日

結局今回はHMVで注文したアリーナ・イブラギモヴァのメンコンCDが届きました♪
Violin Concertos
Alina Ibragimova (violin), Orchestra of the Age of Enlightenment, Vladimir Jurowski (conductor)
 
上記リンクのハイペリオンサイトでは試聴もできますので是非vvv

さて、"メンコン"といえばメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調Op.64の俗称?愛称?略称?ですが、実はメンデルスゾーンが若い頃に書いた二短調のコンチェルトもあったんですね。ってクラシックにはまだまだ疎い私、今回初めて知ったのですが(汗)
聴いてみたらどこかで聴いたことあるような…?という事はメンコンがあまりにも有名すぎて影が薄かっただけか?…いや、やっぱり初めて聴きました。なんとなくメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲に似てる…かも?一時期好きでよく聴いてたので、きっとその記憶が若干混ざった誤解です。

とにかく演奏される機会が少ない曲であることには違いないようです。今回のCDみたいなALLメンデルスゾーンプログラムで、コンチェルト2本収録というのも、メンデルスゾーンBOXとかじゃない限り珍しいような気もしますけれど、一枚のCDでメンデルスゾーンの作曲の変遷に触れるというのもオツだな、と思いました。

ちょうど心身疲れきっていたところだったので、アリーナのヴァイオリンで癒されたい…浸りたい…と思ってすぐ聴いてみたら…

あれ?何だか音がいつになく軽い…?てかオケ全体が軽い???
私また耳がおかしくなった?(以前薬の副作用で半音低い世界の住人になった経験あり)と思って…ブックレット読まずに聴いたので後で確認してみたら、わざわざ437Hz調弦と書いてありました。古楽アンサンブルの調弦ほど低くはないし、自分で弾いてもわからないくせに、聴いたら存外違いってわかるものですね(爆)

というわけで以下、ざっくり感想。


・ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op.64
有名なコンチェルトの方。10年くらい前のアリーナの演奏をネットで拾って、大事に大事に聴いてきたのですが、調弦や、オケが変わるとすごく雰囲気が変わりますね~!
事前情報ナシに聴き始めた瞬間、「あれ?なんかロマン派の作品が古楽っぽい響き…」と率直に感じたのは、HMVの記事による「ピリオド・アプローチ」のせいだったらしい。この記事、自分でリンクしておいて、楽しみにしすぎて内容をうっちゃってた(爆)ので、読み返して納得しました(笑)

でも初めの違和感は決して嫌な感じとかしっくりこないわけじゃなくて、聴き慣れない響きに戸惑っただけ。聴いているうちにだんだん「ああ、これも全然アリだな。やっぱり彼女の音だし」と思えてくるからホント、すごいなアリーナの音って。

以前の音源はアリーナらしからぬ、というかまだ若い感じの気負い?みたいな少し粗い音が諸所混じっていて、いえ私はそれすらも愛でていたのですけど(爆←恋は盲目)、ピリオド奏法のせい&10年の時を経て研ぎ澄まされた今のメンコンを聴いたら、1本の針が真っ白な薄い木綿のハンカチーフに美しい刺繍を縫ってゆくような感じの世界が広がってきましたよ。古楽っぽい響きなんだけれども決して古楽ではない、とっても奥ゆかしい色彩感があるような?それでいて時折ちらりほらりと、大胆で豊かな詩情が見え隠れするような?

メンコンはヴァイオリンソロの出だしからして、ロングトーンでぐいぐいと高音域へ上ってゆく旋律がロマンティックで、私の聴いた演奏でも情感たっぷりなソロと、オケもそこを盛り上げてゆく感じが多かったと思いますが、こういうアプローチも出来る曲なんだな~と改めて気づかされました。


・序曲《フィンガルの洞窟》Op.26
この曲はちゃんと知ってますよ(笑)
少し切ないような、でも自然の織り成す様々な風の匂いがする旋律。
メンコン・ホ短調が終わってから次はニ短調vvvと思って聴いたら肩透かし(笑)逸る気持ちのクールダウンにちょうどよい曲だったかも?

・ヴァイオリン協奏曲ニ短調
ホ短調とは構成からしてかなり雰囲気の違う曲で、ちょっと長めの、性急に刻む弦楽オケの前奏から、ソロヴァイオリンが歌い始めます。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏に似てるかもと冒頭に書きましたが、出だしの雰囲気はハイドンとかモーツァルトの方が似てるかも。ロマン派の曲というより古典派寄り?

この弦楽オケと独奏ヴァイオリンの旋律の対比、対話に青いロマンが漂ってきて、徐々に「ああ…なんかこういう雰囲気、いいな…」としみじみじっくりと思いました。ホ短調のメンコンより、弦楽だけの編成なせいか、アリーナのヴァイオリンも歌っている気がしますし、旋律的にもソロヴァイオリンが映えます。もちろんアリーナの音がすばらしいのですが、何よりオケもソロヴァイオリンも、旋律の良さが伝わってくる演奏。

メンデルスゾーンって若い頃こんな曲書いたんだ?後期の作品と雰囲気が違うけれど、何があってこうなったんだろう…ってちょっと作曲家の横顔を覗いて見たくなる感じ。アリーナのヴァイオリンを聴くと、時々曲自体の背景も知りたくなってくるのですが、今回はこの曲がまさにそのツボに触れてきました。
若くして才能あふれる人の、華々しい曲じゃなくてちょっと懊悩が垣間見られる旋律。青春の悩み?ロマンじゃないですか~私にはとっくに失われた時代だけど(泣)

第一楽章の切羽詰った感じから、第二楽章の切なく美しいメロディーラインに入ると、アリーナの音の優しさや語りかけるような真摯さが胸に染み入ってきました。

はぁぁ…またアリーナの音の深遠に迷い込んでしまった…もう抜けられない抜けたくない…(爆)

今回のCDは、メンデルスゾーンの曲の新たな一面に気づかされた、そんな一枚でした。ニ短調のメンコン、マイナーだけど他の演奏も聴いてみたいです。

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