モーツァルト:ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137
出だしのアリーナのスーッと心に響き渡り浸透するノンヴィブラートでヤラレちゃいました……うっとり。
その後の音は柔らかく繊細で、CDで聴いたモーツァルト「不協和音」よりは陰の部分が薄らいで、弦楽四重奏曲第16番の時のような軽やかさを感じました。ま、全体的に奔放で軽快な曲想のせいもあるかとは思いますが。
それぞれの楽器が奏でる音の語り口は、まるで一人遊びする子供の会話のよう。ちょっと滑稽なニュアンスもあったり、優しく見守りたくなるような雰囲気もあったり。4挺の弦楽器の音が1つに溶け合って素敵。
2楽章の終わりでフライング拍手が起こったのはちょっと(;゚Д゚)ビックリしちゃいましたが、最後まで曲の雰囲気を損なわず無事終了。
小さなホールに合う選曲だなって気もしました。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 作品18-4
モーツァルトから一変して曲想も構成もヴァラエティに富んだベートーヴェン。アリーナが、セドリックさんとのデュオで見せたようなキレッキレ、ギリッギリの感じで切りこんで行くシーンでは、ちょっと全体像がバラけてハラッとさせられる場面もあり、曲のドラマティックな展開と併せてドキドキしてしまったり、またしても2楽章の終わりでフライング拍手があって(;゚Д゚)ビックリしちゃったりしたのですけど、全体的にはモーツァルトとの違いを楽しめたかな。
特にアリーナが、ソロの時より楽しんで弾いている感じが伝わってきて、そこが良かったです♪
初期の作品で、かすかにモーツァルト的な雰囲気もある曲なので、曲自体はどちらかというとCDの「セリオーソ」の方が好きで、演奏もそちらの方が好みだなと思いましたが、ライブならではの迫力は十分味わいました。
シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調「死と乙女」
弦楽四重奏の超メジャー曲。CDの「ロザムンデ」とほぼ同時期に書かれた壮大な作品で、今日の演奏もヴァイオリン2挺の激しい競奏が織りなす切迫感が聴きどころ。
終盤で第2Vnのパブロ・ヘルナン・ベネディさんの肩当て(アリーナと同じくクッションタイプ)が勢いよく跳び外れるというハプニングがあったくらい、熱のこもった演奏でした。
というより、アリーナがグイグイとヒートアップしてゆくのに、引っ張られてパブロ・ヘルナン・ベネディさんもガンガン鳴らしてた感が強いかな。
CDで「ロザムンデ」を聴いてた時は、私自身がアリーナの盲目的なファンであるがゆえに、また姿が見えないからこそ尚更アリーナの音を無意識に探ってしまう感があって、どうしてもベネディさんの音は全体像とし捉えてしまっていたのですが、どっこいライヴで聴いたら、ベネディさんの音はアリーナと全く違う良さがあるし、アリーナの音を殺さず、ちゃんと主張もしてくるなぁという印象を受けました。アリーナよりも深い太い低音が鳴るし、はっちゃけた時のアリーナのタイミングに一番合わせている感じ。
クラーレさんとエミリエさんがその狭間で抑え気味にベースをとってて、だからヴァイオリン2挺に迫力負けしてる感じもありましたけれど、全員がバリバリ弾いちゃったらコレ、悲壮感ゼロになっちゃうし(苦笑)……難しいですね。
重厚感のある四重奏ほど、音量やニュアンス感のバランス、配分が難しい……ってところでしょうか……、まだ彼ら独自の「死と乙女」を模索中というような感じも見受けられました。
キアロスクーロ・カルテットの名の通り、彼らの音が紡ぎ出す明暗の表現をカルテットの音作りのテーゼとするならば、多分シューベルト自身が「ロザムンデ」「死と乙女」を通して、生と死の何たるかを模索したように、この曲が内包する生が持つ光と陰、死に見出す光明と見えざる暗澹を、今後彼ら独自のものとしてどういう音にするか、いずれCDになる日の音色を愉しみにして、今日の演奏はその変遷のはじまりとしたいと思います。
そういえば今回初めて知ったのですが、チェロのクラーレさん、曲によってエンドピンを立てず両足で抱えてバロックスタイルで弾いたり、普通に立てて弾いたりと、変えているんですね!そのエンドピンもよく見たら黒っぽい、カーボン製のような素材のものを使用していました。
だから調弦のせいだけじゃなく、音が丸くて少しこもったような感じに聴こえるのかな?
<アンコール>
モーツァルト:ディヴェルティメント ヘ長調 K.138より第2、3楽章
名古屋より西開催のクラシックコンサート、実は初めて鑑賞したのですが、名古屋のお客さんよりブラヴォーコールがあちこちから、しかも女性の声もたくさんあって、私も便乗して思わず「ブラヴォー」って言っちゃった♪
これまでミュージカルではめっちゃ感動をはっきり言葉にして歓声上げてたんだけど、どうもクラシックは私、通じゃないから言いづらくて。歌舞伎で掛け声かけられないのと同じ感じ?
たくさんのブラヴォーコールに応えて、アンコールは2曲もありました!
兵庫まで来た甲斐あったわ私(笑)
サイン会もありましたvvv
もちろんCDのブックレット持参してましたので並びましたら、私を挟んで前後に並んでいらした芦屋マダム&ジェントル風の方々が今日の感動を語り合っていらしたので、思わず私も混ぜて頂いて、ファントークに花が咲き(笑)
NHK-BSのクラシック倶楽部を観てこの演奏会のチケットを購入されたという方もいらっしゃり、やはりNHKさんの影響力は大だなと。
っていうか、私なんかよりものすごーく、クラシック通な方々ばっかりで、色んな演奏家の演奏会に足を運んでいらっしゃる中で、この演奏会を選んでいらっしゃって、ホント耳の肥えた観客が多いんだなぁ~と感じました。
こんなに評価の高い演奏家だって、名古屋はなかなか満席にならないし、サイン待ちで並んででもそこまで感動を語り合ったりしてないし。土地柄???
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